ドメイン奪還のために20年以上戦っている“世界で二番目に小さい国”

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人知の及ばぬ32ビットの空間に、
名前がついたその日から、
見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、
ウェブの糸がつながった
ドメインの織りなす運命を解き明かす
あらたな世界の扉が開かれる
それが、あなたの知らないドメインの.世界

 

 

自国のドメインを取り戻すために20年以上も戦っている国をご存知ですか?

 

それはオセアニア東部にある世界で二番目に小さい国、ニウエです。

1997年、ニウエ政府と地元企業は「ワールド ワイド ウェブ」に参加する必要があると判断。
政府には資金や専門知識を持ち合わせていなかったため、そのタスクをIUSN財団
(マサチューセッツ州)に委任しました。おかげで、世界で初めて無料のインターネット
サービスを提供した国となりました。

 

ニウエ政府は2003年まで「.nu」ドメインを管理する法的権利の所有者でしたが、IUSN財団に
権利が譲渡されます。
2013年9月には、スウェーデンのccTLD「.se」を管理するIIS財団へ移管
され、現在に至ります。

 

2018年11月、この移管に対してニウエ政府は「IIS財団は2013年に同意無く「.nu」を乗っ取り、
国の収益が大幅に失われた」として、同財団から「.nu」の利益とレジストリ全体の管理を戻す
訴訟を起こしました。
nu」はいくつかの北欧言語で「今」を意味し、「.nu」はスウェーデン、
デンマーク、べネルクスで特に人気のドメインです。そのドメイン登録数は約250,000。年間
約500万ドル(約6億7,000万円※)の利益をだしています。ニウエのような小さな島国にとっては
大金なのです。

 

しかし、2020年、下級裁判所はIIS財団の主張を支持しました。
これを受けて、ニウエ政府はスウェーデンの管轄で訴訟を起こせないと判断。2021年にIANA
(Internet Assigned Numbers Authority)に再委任要求を行った結果、IIS財団の主張が
控訴裁判所によって却下されました。

 

IIS財団は最高裁判所に控訴しましたが、2022年2月、最高裁判所はこの事件の審理を拒否。
控訴裁判所の判決を支持しました。ニウエ政府が訴訟を起こす資格を有すると承認したのです。
IIS財団にはこれ以上、訴える手段はないようですが、2023年4月現在、「.nu」のレジストリは
ISS財団のままです。

 

※2023年3月の平均為替レートで換算。

 

参考
The IUSN Foundation
Supreme Court allows fight for .nu to proceed

 

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